種々の雑記

    

創作

    
#当該世界
クリスマス短編『降誕祭と祝福についての空音』について。構成の解説と内容語り。
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今回は本文の構成が滅茶苦茶なので、まずは構成について。
ケントソウが会話している現在と、ケントと「彼女」が会話している記憶の2つの話が同時に進んでいます。
今回はアスタリスクも空行もなしでシームレスに切り替わって、まぜこぜなので時制が滅茶苦茶です。1行ごとに変わっていたり、一場面丸々現在だったり過去だったり、場面の前半後半でそれぞれ固まっていたり。
突然西の空や裏口が出てきた所からケントの追憶が始まります。

今回は一応ルールを決めていました。少なめだけど。
①時制を無視するのは地の文だけ。
②過去の話は地の文のみに記述する。
③鉤括弧つきの台詞は現在、地の文の台詞は過去で固定する。
④文脈はあまり無視しない。
以上。
文脈無視も考えたけど流石に読みにくすぎる……のでやめました。
でも文脈無視系の文章も書きたいな〜って思っています。やる時はまたケント視点か、シオン視点でやろうかな。

内容について。
ケントのレイヤーが違う雰囲気とケントとソウの関係性って良いんだよね、と、ケンラトだあああ!!!! を全部やりました。自分の中では全部やり切れた。

今回は雰囲気重視で、特にケントの認識の仕方や回想のやり方を忠実にやろう、に重きを置いています。
ケントは思考が異様にマルチタスクで、大抵いつも同時に複数の事を考えています。
なので記憶をたどる思考と、現在でやり取りする思考が同時に発火するし、不思議と同時にどちらも認識できます。
現在のレイヤーと過去のレイヤーが重なっていて、どっちのレイヤーにも同時にケントが存在している感じ。
本来のケント視点は現在に過去が重なるし、過去に現在が入り混じります。かなりカオス。
でも本人は全部区別が付いているので、混線はしていない。
だから通常のケント視点の短編が普通の形式なのは、同時発火している思考の内、本筋に必要なものだけ拾えるから成立している……という理屈を付けてみました。
一人称視点小説はどこまでキャラの認識を反映させるか決めるのが楽しいけど難しい。

ケントとソウの関係性について。
二人とも無秩序が自然な環境で育ち、死と暴力への耐性・適性がある者同士です。
だからお互い遠慮がなく、割と素で話せるからちょっと踏み込んだことも言える。心臓に悪いジョークが飛び交いがち。
作中では、一昨年のクリスマス短編『降誕祭と救済についての小話』との対比を意識しています。
ケントに本質を見透かされていたソウは旅を通してとっても変わったので、今度はケントの本質を見抜こうとしています。
友情というよりは同胞とかそういう感じかも。

この話、実質的にケンラトです。ラトネィの名前は出てないけれど。
ケントが暗いって話がしたくって!!!!
記憶の中の「彼女」に、誰のために祝ったの。をしているけど、それ、お前お前お前〜〜〜!!!!!
でも、そんな事分かっていても、ケントはなかったことにするようになっています。
だから最後にひさしぶりに使った魔術で、「彼女」とは逆のことをします。

ちなみに、「彼女」は伝承に倣って、野花に魔術(と目一杯の祝福!)をかけて、見た目だけポインセチアにしたブーケを渡しましたが、全然魔術なしで野花を渡しても、ケントは誰のために祝ったの。をやります。
「彼女」を通すだけで、天地がひっくり返るぐらいに意味と価値が変わります。そんな「彼女」との記憶の象徴の一つがポインセチアだから、ついでにクリスマスも出てくる。
日付からぱっと出てこない理由の一つは、ケント的には単なる時間の区切りでしかなくて何の意味もないから。

作中の追憶部分は、いつ、どこ、何の話? な感じですが、確かにケントの記憶です。
いつか、どこか、何かの話です。

「彼女」が語って真似た伝承の元ネタも、ほぼほぼそのままであります。奇跡って好き。

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