「お前は差し出されたものを良く飲むね。紅茶、好きでもないのに」
「貴方の好きなものを一緒に飲めるこの時間は愛しているから」
「……明け透けな事、言って。跡継ぎ争い中なのに。お前は一番父さんに気に入られているんだから、毒でも入っていたらどうするの」
「どうでも良いと思う」
また一口呷って、ソーサーにカップを置くと、水面は縁を掠めて、宙を舞っていた僅かな塵を巻き込みながら揺らめいた。
「おれが何で死んでもどうでも良い事だろう。死には変わりがない」
「では、もし仮に俺が盛っていたら?」
「勝手にすれば良い」
「……お前は何時もそれだね。自己保存も何もない」
「誰が何をしようと勝手だろう」
それだけの事だ、と紅い水面に声を落とす。